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旅行やライブの記録

Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018(感想)

2018-12-04
宇多田ヒカルのライブ「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」へ。さいたまスーパーアリーナの回に参加した。

直近のライブではツアートラックがなかったので、今回は事前にあるかどうか検索してみた。すると今回もどうやらなさそう。きっと代わりに記念撮影できるものがあるだろうと思い会場に向かうと、予想通りツアータイトルの書かれたボードを発見。2か所に計4枚のボードが置かれていて、それぞれに列が伸びていた。スタッフの方は周囲にいなくて、自分の後ろの人に写真の撮影を頼む流れになっていた。残念ながら並ぶ余裕がなかったので、ボードに対して斜めの位置に立って、撮影者が交代する一瞬の隙にパシャリ。何度かトライした最低限の写真は撮れた気がしたので、入場ゲートへ向かうことにした。

今回はデジタルチケット制。申込みの時に顔写真を登録する必要があり、電子系チケットを導入しているアーティストの中でも一番申込みの敷居が高かったと思う。開催の約1週間前からウェブ上にチケットが表示され、自分の座席を確認できる。当日は写真付きのチケットを提示して、顔認証システムの確認を受ける流れ。確認作業はとてもスムーズだった。チケット料金は10,800円で国内アーティストとしては高額な部類に入るが、その背景にはこうしたシステムの導入費用も影響しているように思えた。

また、今回のライブのもう一つの特徴が、カメラ付き携帯電話で撮影してOKだったこと。海外アーティストではよくある形だが、国内アーティストではとても珍しいケースだ。参加者のツイッターやブログを見ていると、写真がアップされていることもあるので、興味がある人は調べてみるとライブのイメージがつかめるかも。

ライブは開演時間からおよそ10分後にスタート。終演時間は開始から約2時間10分後だった。



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ここからはセットリストの中で、気になった曲や場面の感想を記しておきたい。


あなた~道
黒いドレスを纏ってステージ中央にスッと現れたヒッキー。最初の2曲が活動休止後の楽曲だったこともあり、新しい宇多田ヒカルのパフォーマンスを生で体感できる喜びがじわじわと湧き上がってきた。1曲目のあなたでは、ゆるやかな曲調や久々のご対面からか観客は座って静かに聴き入っていたが、2曲目の道からは一気にスタンディングのモードへ。ヒッキーと観客の双方が、久々のライブに手探りで少しずつ馴染もうとしている雰囲気があった。

traveling~Colors
次がtravelingだとわかると、会場の興奮度はさらにアップ。サビの「traveling」の時に、観客にマイクを向けるシーンはまさにみんなが盛り上がる時間だった。続くColorsでは、最後のサビを弦楽器をバックに歌い上げていて、普段と異なるアレンジに聴き入ってしまった。

Prisoner Of LoveKiss & Cry
ふわっとしたMCから、Prisoner Of Loveのダークな重厚感に移り変わる瞬間が印象的で、空気を一変させる演奏の力をあらためて感じた。Kiss & Cryでは、途中からCan You Keep A Secret ? の一節が混ぜ込まれたアレンジになっていたのが面白かった。この後、Can You Keep A Secret ? につなぐのかと思いきや、最終的に演奏されなかったので、次のライブの機会があればぜひ演奏してほしいと思った。

ともだち~Too Proud
ダンサーを迎えてのこの2曲は、今回のライブで最も視覚に訴えかける時間のひとつだったと思う。背景の映像や演出が全体を通してシンプルだったからこそ、ダンサーの鍛えぬいた身体が見せる踊りと少し陰のある楽曲がつくりだす妖艶でどこか危うい空気感は、ライブの見どころのひとつだと感じた。

映像タイム
Too Proudの後は前半戦終了ということで、約10分間の映像タイムに入った。NHKの「SONGS」で共演したピースの又吉さんとの対談で始まった映像は、終始真面目な展開かと思いきやだんだん笑いの方向へ。ビンの破壊力がすごい。最後のクレジットで脚本が又吉さんとなっていて、笑いの感じに納得してしまった。
昨年、星野源さんのライブに行った時も途中で笑い要素たっぷりの映像タイムがあったように、ライブの間に笑いを挟むスタイルは一部でトレンドになりつつある…わけないと思うけど、ひょっとしたらあるのかもしれない。

誓い~花束を君に
場所を変えて、白と黒のドレスでセンターステージに登場。ここからの活動休止後の3曲は、ピアノの存在感が光り、大人っぽさや切なさ溢れる演奏だった。特に個人的には、真夏の通り雨が鳥肌もの。どう表現していいかしばらく悩んだが、イメージ的には、曲が進んで音が増えていくにつれて、積み重なった切なさが自分の中の感情をかき乱し、最後に少しだけ落ち着きを与えてくれるような感じだ。

First Love~初恋
この2曲の流れもこのライブのハイライトのひとつ。青白い光とスモークの演出で、First Loveは荘厳でどこか神々しささえ感じさせる雰囲気だった。これに対して初恋は、むき出しの感情の無防備さや崩れやすさを表現しつつ、ある種の激しさを感じさせる演奏だった。日本語にすると同じ名称の2曲の共演は、ヒッキーの歴史を思い起こさせるだけでなく、20年経っても宇多田ヒカルの曲が聴けるという純粋なうれしさを実感させてくれる時だった。

Automatic
アンコールにようやく待ちわびていた1曲を聴けて本当に嬉しかった。刻むような演奏と腕の振りが合わさった「It's automatic」のフレーズは、一瞬で気持ちを最大限引き上げてくれる魔法の言葉。最後のサビ前のギタープレイもたまらない。この一曲を聴くために何回でもライブに行きたくなる、そのくらい魅力的で最高のパフォーマンスだった。


ヒッキー自身は8年ぶりのライブということで、ライブ慣れしていない様子もあったが、それゆえに観客との距離感を図りながら一曲ずつ思いを込めて歌っているように感じられた。トップアーティストにもかかわらず、少し慣れない側面が垣間見えたことに、親近感や新鮮さがあった。もともとライブ実績が少ないアーティストなので、次回のライブがいつになるかはわからないけれども、そう遠くない未来にまた会えることを楽しみにしたい。

セットリスト

本編

01. あなた
02. 道
03. travering
04. Colors
05. Prisoner Of Love
06. Kiss & Cry
07. SAKURAドロップス
08. 光
09. ともだち
10. Too Proud
11. 誓い
12. 真夏の通り雨
13. 花束を君に
14. Forevermore
15. First Love
16. 初恋
17. Play A Love Song

アンコール

18. 俺の彼女
19. Automatic
20. Goodbye Happiness

(生)林檎博'18-不惑の余裕-(感想)

2018-11-22
椎名林檎のライブ「(生)林檎博'18-不惑の余裕-」へ。さいたまスーパーアリーナの回に参加した。

いつものツアートラックの場所を見に行くと何もない。何か代わりに記念撮影できるものはないかを探していると、200レベルの入口近くでボードを発見。ボードの脇には列が伸びていて、並ぶとスタッフの方が写真を撮ってくれる形になっていた。最近はこのように並ぶのが増えてきた気がする。きれいな一枚を撮りたい人にとってはよいシステムなのではないか。開演まであまり時間もなかったので、先日と同様に撮影者が交代する一瞬の間をねらって連写。思ったよりはよい写真が撮れたので、すぐに入場ゲートへ向かった。

今回は電子チケット制。身分証明書は不要な形式で、アプリをダウンロードして事前にチケットの受取を済ましておけば、後は現地で提示するだけ。電子チケットを初めて利用した頃は、ちゃんと起動するかどうかや電池切れなど様々な心配があったが、この一年で参加したライブの多くで電子チケットを使った影響もあってかすっかり慣れた気がする。システムの使い勝手がすごくよいとはまだ言い難いが、紙メインから電子メインへの過渡期だと思うので、今後も動向に注目していきたい。

電車が遅れていた影響もあるのかわからないが、ライブは開演時間からおよそ10分後にスタート。終演時間は開始から約1時間50分後だった。



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ここからはセットリストの中で、気になった曲の感想を記しておきたい。


本能
最初の曲の途中まで林檎さんが登場しない演出にいきなり面食らった。本能のイントロで一気に盛り上がり、歌声が流れ始めるものの、ステージ上にいるのはライムスターのMummy-Dさんのみ。何だこれと思っているうちに、本人が奥から満を持して登場。衣装の煌びやかさは全然違うけれども、頭にまず浮かんだのは「小林幸子」というワードだった。そのぐらい派手さとか女王的な感じを一瞬で刻みこまれた。ほかの感想を見ていると賛否両論あるようだけど、個人的には驚きがあって面白かった。

雨傘
斜めの向きで直立して歌う林檎さんと、カラフルな背景の中で激しく線が動く映像との対比が美しかった。映像に合わせた英語の歌詞の表示もカッコいい。そのほかの曲も含めて、ライブ中に表示される歌詞がおしゃれでカッコいいと思ったのは林檎さんが初めてだった。多くの曲ではステージを正面に見て右上に表示されており、位置取りや文字の大きさ、字体、そして歌詞の漢字の多さなどを考慮して、違和感なく全体の美観を損なわない形で示しているんだろうと想像した。

化粧直し(インスト)
ダンスの魅せる力もライブ全体を通して印象的だった。特に、林檎さんの衣装チェンジである化粧直しのインストの時は、ダンスの魅力をたっぷり味わえる時間で、鮮やかな傘を使った舞に思わず引き付けられた。

人生は夢だらけ
ささやかな祈りと力強さの同居。普段聴いている音源でも感じる部分はあるけれども、ライブでこの曲を聴くとその点が一層際立って感じられる。こうした変化がライブの醍醐味のひとつだと思う。

東京は夜の七時~長く短い祭
情感溢れる曲の余韻に浸る間もなく一転、浮雲さんの登場により高揚感を煽るモードへ。東京は夜の七時から長く短い祭へと続く流れに身を預けていると、祭りの前のワクワクや最中の喧騒、そしていつか終わりが来ることの儚さが、短い時間の中に凝縮されているように感じられた。

獣ゆく細道~目抜き通り
コラボ曲2連発。獣ゆく細道では、エレファントカシマシの宮本さんの巨大な映像と一緒に歌っていて、その場にいないのに宮本さんが圧倒的な存在感を示していた。ミュージックステーションでのパフォーマンスを見て以来、生の共演をぜひ見たいと思っていたがこの日は叶わず。別の日には生で登場したと聞いて、すごくうらやましかった。一方の目抜き通りでは、ウルフルズトータス松本さんが登場し、会場のテンションは爆上げ。花道で林檎さんとトータスさんが笑顔でハイタッチしているシーンにすごく和んだ。


全体を通して感じたのは、ライブというより緻密に構成されたショーを見ているようだったということ。振り返ると、本編最後やアンコールの短い時間を除いてMCは基本なく、怒涛の楽曲ラッシュなのが特徴的だった。真意はわからないが、MCによるあそびの部分を極力なくして、きっちりと完璧なパッケージを届けたいのかもしれない。次はアリーナよりも小さな会場で聴ける機会があるとうれしい。

セットリスト

本編

01.本能(椎名林檎Mummy-D
02.流行(椎名林檎Mummy-D
03.雨傘
04.日和姫
05.APPLE
06.MA CHERIE
07.積木遊び
08.個人授業(フィンガー5 カバー)
09.どん底まで
10.神様、仏様
11.化粧直し(インスト)
12.カーネーション
13.ありきたりな女
14.いろはにほへと
15.歌舞伎町の女王
16.人生は夢だらけ
17.東京は夜の七時(浮雲ソロ)
18.長く短い祭(椎名林檎浮雲
19.旬
20.恋の呪文はスキトキメキトキス伊藤さやか カバー)
21.ちちんぷいぷい
22.獣ゆく細道
23.目抜き通り(椎名林檎トータス松本
24.ジユーダム

アンコール

25.はいはい
26.夢のあと